After the exhibit of REFLECTION



展覧会の後に

美しいクリスマスの装飾が溢れる銀座で、3回目の写真展を開いた。
冷え込みの厳しかった晩秋のひとときを、慈愛に満ちた光で包んでくれた人たちを、私は 限りない愛しさをもって懐かしんでいる。
今では、それらは過去に、分ち難い過去のものとなった。
都会のビルの谷間にも、光は豊潤に射し込んで、私たちの周辺を輝きに満ちた色彩へと変えた。刻一刻と移り変わる光が、ギャラリーを通り過ぎて行ったけれど、いずれの瞬間も現実のものとして思い出すことが出来ない。私の身体を通過して生まれでたエナジー、それは出現して消え去って行った。
そう、夢のあとのように、何もかもが消滅した。

写真展の準備の最中においては、あたかも解けない紐の結び目を必死で解こうとしているような苦痛にさいなまされていた。そのようなとき、高ぶり荒れ狂う感情を押さえようと躍起になっている自分自身を発見して驚いた。苦痛から抜け出す唯一の方法、それは多分その苦痛を味わい尽すことしかないように思える。
私たちはおそらくロゴスの鎧で身を固めているのではないか。
冷静であるということに、いかほどの価値があるのだろうか。
泣く、叫ぶといった感情表現をどうして未成熟なものとして封じ込める必要があるだろうか。
私は感情を抑制することをますます止めにした。


流れ、消え去るべきすべてのもの
とらええないものを
ふせぐような壁は立てまいとして
囲い込まれない いつも自由な自己を夢見るけれど
別の思いにもとらわれる、
庇護されていないものに人を庇護することはできず
むきだしにされたものは 他者をもさらすということ、
広く開かれたドアは 閉ざすことができなければ
なにも意味をもたない。

ほんとうの安息所をつくる人は自由ではない
しっかり支え、守り、根を下ろし、深い井戸を掘る、
安息所の人の愛がどのようであっても
守る壁がなくては自由はない。
行ったり来たりする翼を心に描くとき
見えてくるのは家、そして広く開かれた窓。

「安息所について」メイ・サートン
(『回復まで』みすず書房 中村輝子・訳)

2002年12月の東京にて   川村法子


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